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京都地方裁判所 昭和54年(わ)328号 判決 1980年8月19日

本籍並びに住居

京都府福知山市字内記七三番地

医師

塩見良明

大正四年一月一日生

本籍

鳥取県米子市尾高町七一番地

住居

兵庫県美方郡濱坂町濱坂八八二番地の五

事務員

米田晃

昭和五年一〇月一三日生

右両名に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官小野哲出席のうえ審理してつぎのとおり判決する。

主文

1  被告人塩見良明を懲役一年二月及び罰金二、五〇〇万円に、被告人米田晃を懲役一年に処する。

2  被告人塩見においてその罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

3  被告人両名に対し、この裁判確定の日から三年間、それぞれ右各懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人塩見良明は塩見医院(産婦人科)及び私立整形外科湯村温泉病院(内科、外科、歯科等)を経営するもの、被告人米田晃は右温泉病院において経理事務全般を担当しているものであるが、

第一  被告人塩見良明は、米田晃及び塩見逸子(塩見医院関係につき)と共謀のうえ、被告人塩見良明の所得税を免れようと企て

一  昭和五〇年分の総所得金額は四、〇六五万〇、二八八円であり、これに対する所得税額は一、八六〇万七、〇〇〇円でそのうち源泉徴収された税額が五六九万八、一三二円であるので、なお納入すべき所得税額は一、二九〇万八、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上収入の一部を除外するほか架空仕人を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、昭和五一年三月一五日、京都府福知山市所在の福知山税務署において、同署長に対し、総所得金額は六二五万六、六三八円でこれに対する所得税額は八九万四、五七〇円であり、源泉徴収税額が三七〇万九、九四五円であるから差引納付税額はなく還付を受ける税額が二八一万五、三七五円(この金額には計算上の誤りがある)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額一、二九〇万八、八〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する還付所得税額二七四万五、一七五円との差額一、五六五万三、九〇〇円をほ脱し

二  昭和五一年分の総所得金額は七、四五八万二、四二七円であり、これに対する所得税額は四、一三三万三、九〇〇円で、そのうち源泉徴収された税額が六四四万七、一六四円であるので、なお納入すべき所得税額は三、四八八万六、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様所得の一部を秘匿した上、昭和五二年三月一五日、前記福知山税務署において、同署長に対し、総所得金額は六四五万八、四八六円で、これに対する所得税額は一〇一万九、三一〇円であり、源泉徴収額が四二五万八、六九八円であるから差引納付税額はなく還付を受ける税額が三二三万九、三八八円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額三、四八八万六、七〇〇円との差額三、八一二万六、〇〇〇円をほ脱し

三  昭和五二年分の総所得金額は一億二、六五九万七、二五八円であり、これに対する所得税額は八、〇〇七万四、〇〇〇円で、そのうち源泉徴収された税額が一、〇七二万一、一一三円であるので、なお納入すべき所得税額は六、九三五万二、八〇〇円であるのにかかわらず、前同様所得の一部を秘匿した上、昭和五三年三月一五日、前記福知山税務署において同署長に対し、総所得金額は二、四〇七万二、八二四円で、これに対する所得税額は九〇三万四、八五〇円であり、源泉徴収額が八四一万五、六〇五円であるから申告納税額が六一万九、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額六、九三五万二、八〇〇円との差額六、八七三万三、六〇〇円をほ脱し

第二  被告人米田晃は、塩見良明と共謀のうえ(塩見逸子との共謀はない)、同人の所得税を免れようと企て

一  昭和五〇年分の総所得金額は三、〇三六万一、八三五円であり、これに対する所得税額は一、二四六万〇、八〇〇円でそのうち源泉徴収された税額が四一七万二、六七五円であるので、なお納入すべき所得税額は八二八万八、一〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上収入の一部を除外するほか架空仕入を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、昭和五一年三月一五日、京都府福知山市所在の福知山税務署において、同署長に対し、総所得金額は六二五万六、六三八円で、これに対する所得税額は八九万四、五七〇円であり、源泉徴収税額が三七〇万九、九四五円であるから差引納付税額はなく還付を受ける税額が二八一万五、三七五円(この金額には計算上の誤りがある)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額八二八万八、一〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する還付所得税額二七四万五、一七五円との差額一、一〇三万三、二〇〇円をほ脱し

二  昭和五一年分の総所得金額は五、五四三万一、九七八円であり、これに対する所得税額は二、八二〇万一、九〇〇円で、そのうち源泉徴収された税額が四七八万四、八二一円であるので、なお納入すべき所得税額は二、三四一万七、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様所得の一部を秘匿した上、昭和五二年三月一五日、前記福知山税務署において、同署長に対し、総所得金額が六四五万八、四八六円で、これに対する所得税額は一〇一万九、三一〇円であり、源泉徴収税額が四二五万八、六九八円であるから差引納付税額はなく還付を受ける税額が三二三万九、三八八円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額二、三四一万七、〇〇〇円との差額二、六六五万六、三〇〇円をほ脱し

三  昭和五二年分の総所得金額は一億〇、九八七万九、三二三円であり、これに対する所得税額は六、七五三万五、五〇〇円で、そのうち源泉徴収された税額が八八七万五、一四〇円であるので、なお納入すべき所得税額は五、八六六万〇、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様所得の一部を秘匿した上、昭和五三年三月一五日、前記福知山税務署において、同署長に対し、総所得金額は二、四〇七万二、八二四円でこれに対する所得税額は九〇三万四、八五〇円であり、源泉徴収額が八四一万五、六〇五円であるから申告納税額が六一万九、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右年分の正規の申告納税すべき所得税額五、八六六万〇、三〇〇円との差額五、八〇四万一、一〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示第一の一及び第二の一につき

一  福知山税務署長の証明書(検二号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検六号。判示第一の一につき)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書写(検六二号。判示第二の一につき)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一通(検二一号)

一  押収してある五〇年分カルテ一箱(二〇綴)(昭和五四年押二六二号の七。判示第一の一につき)

判示第一の二及び第二の二につき

一  福知山税務署長の証明書(検四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検七号。判示第一の二につき)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書写(検六二号。判示第二の二につき)

一  押収してある買掛帳に記載の収入金明細一冊(前押号の五。判示第一の二につき)

判示第一の三及び第二の三につき

一  福知山税務署長の証明書(検五号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検八号。判示第一の三につき)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書写(検六二号。判示第二の三につき)

一  押収してある買掛帳に記載の収入金明細一冊及び比野八重子の領収証一枚(前押号の五及び六。判示第一の三につき)

判示全事実につき

一  米田晃の確認書三通(検九ないし一一号)

一  福知山信用金庫大槻和彦、同中野正幸の各確認書(検一二、一三号)

一  幸福相互銀行岡田幸雄の確認書(検一四号)

一  京都銀行衣川充利、同水口吉之の各確認書(検一五、一六号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一二通(検一七ないし二〇、二二ないし二九号)

一  押収してある別口金銭出納簿一綴、振替伝票綴一箱(一二綴)、診療収入推移表二綴及び試算表綴一綴(前押号の一ないし四)

(法令の適用)

一  被告人塩見につき

刑法六〇条、所得税法二三八条一項、二項(いずれも懲役刑と罰金刑を併科する)

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項

同法一八条

同法二五条一項(懲役刑につき)

一  被告人米田につき

刑法六〇条、二三八条一項(いずれも懲役刑選択)

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

同法二五条一項

(裁判官 吉田治正)

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